2009年12月22日火曜日

二重国籍について

こちらに住む友人からの質問で国籍の問題も時々。お父さんお母さんの国籍が異なる場合、その子供は2つの国籍を持つことができる場合があります。現在の日本の国籍法の規定によれば、2カ国の国籍を持っている場合は22歳までに自身の国籍を「選択」しなければならないとあり、日本以外の国籍を選択した場合日本国籍を喪失します。こうした日本の国籍に関する規定は、日本国籍を選択しない場合あとは知らんよという、ある種国家の無責任を法律上認める問題のある制度であります。考えてみると欧米における近年の市民権の傾向とは意を異にしていて、実質的には国家の制度の選択によって本人の選択の余地を狭めていると言わざるを得ません。

スウェーデンでは、2001年から二重国籍を容認する規定が設けられましたが、正確に言うと二重Medborgarskap=市民権の話であります。市民権とはなかなか言い得て妙というところで、「誰が国民か」というアイデンティティ上の問題をかなり回避出来る点で非常に便利。外国人に選挙権を与えるとか与えないとかいう以前にその導入を考えるのも一つかも知れません。日本国憲法上、日本国民の要件は法律で定めるという規定があるので、国籍の概念そのものを放逐することは難しいのかも知れないけれども、概念を二層化することで解決が結構図れるのではないかという楽観的な考え方を持ってみたり。

それでも国籍法絡みではダメな議論がまかり通っていて、最近までも「事後認知による国籍取得を認めると不実の国籍取得が増える」みたいな意見がさも正論のようにされていました。「売買契約後の不動産登記を認めると二重譲渡がまかり通る」みたいな話で、不正を防ぐために真実の状態を登録させないという著しい不正義。間違った制度を持つ不正義と制度を悪用する不正義、異なるレベルを混同した議論、日系人のノーベル賞受賞も今は昔になってしまって当分変わらないんだろうなと、少し気をもむ今日この頃。

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