2010年10月21日木曜日

ネズミがチュチュっと鳴くと-その2

(注) 誠に申し訳ありませんが、本ブログはスウェーデンにて作成しています。日本居住者を対象としていませんので、日本における一切の責任は負いかねます。同意頂けない方の閲覧はご遠慮下さい。なお訴訟等にはしっかり対応しますのでそれなりの覚悟をした上でお願い致します。なお無意味な誹謗・中傷、言いがかり等は黙殺致しますのでご了承下さい。

というわけで、近所のピザ屋のおじさんがマルチに引っかかりそうだったので10分ほど話をしてきました。Kyani‏ (Kyäni) というどうしようもないブランド。調べたところ日本でも勧誘しているようで、まぁ手法としては全く同じ。問題はウェブやブログを大量に立ち上げて、ネガティブな情報を入手しにくくしている様子。まぁそんなわけでもう少し書くことに。

勧誘の兄ちゃんがサンプルとして持ってきたのは「カイアニ サンライズ」。商品自体はなんてことはないただのミックスジュース、一袋30cc弱、原価2-3kr (約30円)もあればたっぷりお釣りの来る代物。そんな商品を500円もの高値で売って、しかも孫会員からお金が入る、と。一袋50kr(約600円)で売りつけられる秘密はノーベル賞も認めたブルーベリーとか何だの「ミラクル効果」。みんな健康になってお金も入る、万々歳とまぁそんな話。

疑問1. 商品自体に価値はあるのか?
あくまでビジネスとしてではなく、商品単体の価値として分析してみましょう。彼らの言う「ミラクル効果」は抗酸化作用によるもの。まぁ他にも色々あるけど、とりあえず話をシンプルに。彼らの大好きなORACと FRAPの検査結果は、160cc瓶で25kr (300円)で買えるWELCH'Sのグレープジュースにも劣ります。彼らの言う「ミラクル効果」を基準として考えると1袋50 öre (約7円)が妥当な小売り希望価格となります。50 kr (600円) で売るほどの価値のある商材ではありません。費用対効果のバランスが全く取れてません。このへんが、付加価値が一応あるアムウェイとかと違うところ。Kyani‏ (Kyäni)自身が説明する数値自体に100gあたりといった目安分量が明記されてないこともかなり表示上問題、少なくともスウェーデン語のカタログはね。

疑問2. いったい何が入っているのか?
貰ったサンプルの小袋を見る限りは意味不明の物体。色々な果物の名前と栄養の名前が入っているものの、何がどれだけ含まれているのか謎。そもそも100%なのかどうかも怪しい。原産国表示もなし。例えば含まれているはずのライチがアラスカで採れるわけもなく、自生したライチを採れるわけもなく...。アラスカ=大自然という純粋無垢な発想は素晴らしいけど、アラスカだけが環境破壊の猛威から隔離されているわけではなく、自然食品=無害という発想には閉口させられます。一体世界でどのくらいの人間が自生した植物が原因で死んでいるのか。一体どのくらいの人間が汚染された植物が原因で苦しんでいるのか。
それははさておき、法令上の最低限の表示すら行えない企業が健康について語るのはおこがましいに尽きます。まぁ袋じゃなくて箱に書いてるよって言い訳するんだろうけど、袋での転売や譲渡を予定しているのにそれを書いてないのはおかしい。そもそもそんなスタンスで健康を語ってる事自体が、このビジネスの限界でしょう(怒)。

疑問3. Kyani, Inc という会社は一体何なのか
2005年のアメリカ法人の設立から2度も社名変更しているのに、会社の沿革の欄に記載されてないのはIR情報としてもPR情報としても、怪しい。日本語のページによると「7,900㎡ の広大な敷地に本社と倉庫を併設」とのことだけど、そもそも敷地と建物はリースというか賃貸会社の所有と思われ、その広大な敷地の中に所狭しと建築物やら駐車場やら。まぁGoogle Mapを見れば一目瞭然。まぁ確かに所有しているとは書いてないから嘘じゃないよね。ただ街のバブリーな再開発地域を雄大な自然に囲まれていると言い張るのはまぁ、その程度の自然の感覚だよねという話。
もう一点、謎が残るのはアメリカのいくつかの州でビジネスをしているといっているのにもかかわらず、連邦法上の会社登録が見つからないこと。アメリカは連邦国家なので当然越境すると法律上も司法上も別の国であります。同じ法人格で活動する場合は登録が必要なはず。まぁ別会社という可能性もあり。このあたりはちょっと謎なので気が向いたら調べてみましょう。彼らの説明とは一致してないけど。

疑問4. マルチ商法と商材
彼らのモットーとしては良いネットワーク商法と悪いネットワーク商法がある、と。健康に寄与するからいい、とまぁそういうロジック。健康にいいから1kr (12円)の効果の物を50kr(600円)で売り飛ばすのは正気の沙汰ではありません。大手の企業も健康食品でぼったくってるんだから、会員に還元するのは一説にはいいことなのかもしれません。ただ大手企業とこうしたマルチ企業の違いは、食品事故が発生した場合の支払い能力と、長期にわたる品質管理能力に対する信頼がそもそも異なります。大手の場合それなりに表示もしっかりしています。当然他社との比較も容易です。品質表示に信頼がもてない場合、健康食品としてはそもそも失格です。
ダメな商材を使って良いネットワークビジネスを構築できるのか?会員に還元することが素晴らしいことなのか。これは、NGOで多くのフェアトレード商品を扱わせてもらった自分にとっては、最悪な利己的な考え方であります。ブルーベリーを始めとする果実の収穫には、多くの季節労働者や不法労働者、単純労働者が携わっており、彼らの生活水準や教育水準の向上のために利益を還元する方法を考えなければ、結局の所大企業による搾取が先進国の国民による搾取に取って代わるに過ぎません。夢のボーナス、夢のスーパーカーをゲット!一体いくつの井戸を掘れるのか、一体何人の子供達に数年間の教育を与えられるか、想像するだけでこうした生産性のない無駄金にただため息をつくばかりです。

ネットワークビジネス、マルチ、ネズミ講に共通する問題は、終局的な消費者がその肥大化した金額を負担するということであります。Kyani‏ (Kyäni) のスウェーデンの場合3人の子会員の獲得と子会員による7人の孫会員の獲得がボーナスへの第一ステップ。スウェーデンに住んでいる人全員が会員になるとしても、全員が会員になるまで15ステップ弱。会員の全員が欲がなく、最初のボーナスのみを受け取ったとしても、購入者の約7割はキャッシュバックの恩恵に授かることはできません。強欲さんがいて車をもらってる限り、もう少し受け取れる人が現実には減っていきます。残念ですが。

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