2009年4月28日火曜日

個人情報保護法・・・

個人情報保護法制定時から既に議論されていることですが、憲法上のプライバシーの観念と個人情報保護法の保護する情報とは全く別物。スウェーデンに住んでいて感じるのは、自分の名前というのはある種パブリックな情報であり、個人を特定できるからこそ名前を使うのは信頼性という面から重要であるということであります。その点で「個人を特定できる情報」そのものの提供を徹底的に避ける日本の風潮には首をかしげるものがあります。

個人情報保護法制定前の日本の行政機関による情報の取り扱いは極めてずさんなものであり、その反省から生まれたといっても過言ではありません。本人確認の欠如、三文判による委任状の横行、弁護士バッヂさえあれば全ての個人情報にアクセスetc...とにかく挙げればきりがありません。その意味で個人情報を保護するというのは、一定の理解は示したいところです。

が、やっかいなことに、本来個人情報保護は情報を管理するためのある種の指針のはずが、行政が情報を破棄するための理由として使われてしまっている感があるいうこと。もちろん、情報を破棄する直接的な理由にはなってないはずですが、担当者によってはこんなどうしようもないことを言われることもあります。行政の有する情報は基本的に公的な情報にも関わらず、安易に破棄されているということ。年金の問題も、行政が公的な情報を公開するか否かは別にして、問題が生じたときに必要な範囲で照会できるよう記録を保管していなかったことに混乱の原因があります。将来にわたって利害関係を及ぼしうる情報は、いわば現在進行形の情報であり、書類作成から起算するべきではなく、合理的に情報が利用され得ると考えられる期間の終了時より起算すべきであります。社会保険庁の管理のずさんさの問題は、本来的には立法機関が公的文書管理を的確に定めなかったことに問題があり、また行政の監視を怠った怠慢の結果であり、社会保険庁の組織改革を行うという根性論だけでは他の機関でもまた同じことが起こりえます。

さて、前置きが長くなりましたが自分の通っていた東京都立の高校の場合、成績に関する情報保管が卒業又は除籍後5年、単位取得に関する情報保管が同じく10年とのこと。はっきり言って短すぎるという以外ありません。自分で卒業証書を保管しておけば、という話にもなりますが、その卒業証書が真正なものであるという証明を行えないということは、その証明書の信頼性を著しく低下させます。加えて海外で単位を用いる場合、「何を高校で勉強したか」は、「卒業したか否か」と同じレベルで重要であり、その意味で「卒業」の記録だけ残ってればいいという考え方は、ちょいまずいんじゃないかと思うところです。こうして考えると、個人情報保護法が行政に、個人に関する情報はある程度破棄していいという考え方を与えている印象を受けます。個人情報を適正に管理することと、個人に関する情報を可能な限り破棄することとは、似て非なること。そんなことを思ったり。

さてさて、スウェーデンで個人に関する情報といえば、最近ネットでの共有ソフトがついに違法化。その絡みで新たに制定され、先月施行されたIplagen(Ipアドレス法)が定めるところによれば、著作権者がプロバイダに対し、違法にアップロードおよびダウンロードを行っているユーザの情報開示を求めることが出来るようになりました。これに対して、先日600万程度のユーザを抱えるTele2は、どのユーザがどのIPアドレスを使ったのかという情報をすみやかに削除することを決定、これによりユーザの利益を保護すると言っております。元々スタッフやサポートを削っている会社なので、おそらく情報開示の手間がコストに跳ね返ることをおそれての決定かとは思われますが、今後他のプロバイダが追随するか興味津々です。

そんなTele2お気に入りのCM

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